近視対策 幼少期から

スマホなど長時間利用避ける  (2018/1/26 読売新聞より)

子どもの近視が増えている。放っておくと、大人になって視覚障害につながる恐れも指摘されている。幼少期からの対策で、予防や進行を遅らせることを意識したい。文部科学省が昨年12月に公表した学校保健統計調査(速報値)によると、裸眼視力が1・0未満の割合は小学校で32%、中学校で56%と、いずれも過去最高となった。幼稚園でも24%いた。

 慶応大学教授(眼科学)の坪田一男さんは「大人になっても近視が止まらない人もおり、より強度の近視に進むと眼鏡などでの矯正も難しくなり、さらに失明につながる恐れもある。放置してよいものではない」と警鐘を鳴らす。

 ただ、子どもは視力が落ちても、「見えにくい」などと訴えることは少ない。東京都品川区の女性(39)の小学2年生の長女(8)は、昨春の学校検診で視力の低下を指摘された。眼科で調べたところ、両目とも裸眼視力が0・3ほどに落ちていた。女性は「指摘されるまで、本人も目が悪いことに気づいていなかった」と話す。点眼などの治療をしても回復せず、長女は今、眼鏡を着用している。

 クイーンズアイクリニック(横浜市)院長で医学博士の荒井宏幸さんは、子どもの視力を親が普段からチェックする方法として、「見えるかなテスト」を勧める。子どもが日常会話をできるようになったら、遠くのものを指して何かを答えさせる。親が見える範囲であれば、指し示したものまでの距離は問わない。「赤や緑を中心に色についても聞いてあげると、色覚異常の確認もできます」と荒井さん。日常生活で近視を予防したり、進行を遅らせたりすることも大切だ。荒井さんは「近くを見る時間が長いと、目に負担がかかる。スマートフォンを近づけて凝視するのは避け、利用は1日2時間程度に抑えて」と助言する。読書をする際は、椅子に姿勢良く座り、明るい場所で。目から本まで30~40センチ離す。タブレット端末などは、のぞき込むのではなく、スタンドを立てて見るようにすると、目の負担が減るそうだ。

 タブレットやパソコンを勉強に使うなどして、見る時間を減らしづらいこともある。横浜相鉄ビル眼科医院(横浜市)院長の大高功さんは「その場合は数分に1度、画面から目を離して遠くを見るよう、親が指導して」と話す。

 外遊びが近視リスクを下げる可能性も指摘されている。慶大の坪田さんの近視研究チームは、紫外線と可視光の中間にあたる波長の「バイオレットライト(紫光)」が近視予防に関係していることを発見した。実験では、これを浴びたヒヨコの目で、近視の進行が抑えられることが確認されたという。紫光は太陽光に含まれるため、「1日2時間以上、外で遊ぶのがいい」と坪田さん。ただし、この波長は窓や眼鏡、コンタクトレンズで遮断されるといわれるので、「できれば眼鏡を外して遊んでほしい。室内にいる場合は、窓を開けて窓側に座って」と話す。