弱視

概要

こどもの視力が発達するためには、毎日ものを見ている必要があります。これは眼から受けた刺激を、脳が正しく理解するのに、訓練が必要だからです。訓練といっても、特別なことをするわけではありません。眼を開けていろいろなものをみているうちに、眼からの刺激を脳が正しく理解するようになるのです。
それでは、もしこどもの視力が発達する途中で、たえずものを見る訓練ができなかったらどうなるでしょうか?この場合、視力の発達は抑えられ、止まってしまいます。これを弱視といいます。近視でめがねをかけると見えるようになる場合は弱視とはいいません。

弱視はものを見る訓練が出来ないと起こりますが、ものを見る訓練ができない状態になる原因としては以下のようなものがあります。

・斜視

斜視があると、両眼視ができないため、ものが二重に見えます。ものが二重に見えると、脳が混乱するため、斜視になっている片方の眼を使わないようになり、使わない方の眼が弱視になる場合があります。これを斜視弱視といいます。

・遠視

遠視があると、近くを見る時も、遠くを見るときもはっきりとみえないため、視力が発達せず、弱視になる場合があります。

・その他

生まれつき、白内障などの眼の病気がある場合、あるいは乳幼児に眼帯を長い間(3~7日間程度)つけたりした場合、ものを見る訓練ができず、弱視になる場合があります。

症状

斜視と違い、弱視は保護者の方が注意していても分からないことがままあります。特に片方の目だけが弱視の場合、よい方の目で普通に見ているため、気がつかないことが多いようです。3歳児健診の視力検査を必ず受けるようにしましょう。

家庭で弱視を発見するには?
・テレビを前の方で見る 
・目を細める 
・いつも頭を傾けてものを見る
など、いかにもものを見にくそうにしている場合には注意しましょう。また、片目がよく見える場合には、なかなか気づかないので、片目を隠してカレンダーや時計を見せてみましょう。少しでも異常に気がついたときは必ず眼科を受診しましょう。

診断

弱視の検査は、難しく、根気の要る作業を必要とします。ですので、眼科では主に視能訓練士(ORT)という専門の資格を持ったスタッフが検査を行います。
原因となりうる斜視や遠視、その他の病気(先天性白内障など)が無いかを調べます。眼の調節力を麻痺させ、散瞳させる点眼薬を用いて、屈折検査や眼底検査などを行います。その為、診断がつくまで時間もかかりますし、何回も通院する必要があります。

治療

視力の発達が抑えられている期間の長さや程度によって、良くなる場合と、ならない場合があります。3歳くらいまでにみつかると、なおる可能性は高くなります。弱視をなおす方法としては、遠視が原因の場合には遠視用のめがねを掛けます。その他の場合は弱視の視力増強訓練を行なう必要があります。弱視の視力増強訓練は遮蔽法という方法で行います。遮蔽法はふつうよい方の目を隠すことによって、弱視の眼を無理に使わせようとする方法です。この方法は病院だけでなく、家庭でもずっと行わないと意味がありませんので、家庭の協力が必要となります。遮蔽法を行なうときには眼科医の指示に従いましょう。また、4歳児以上では視能訓練士による器械を利用した訓練を行います。